4月にバンダイへの出向から企画開発本部に戻った久保正和氏も「今までできなかったことを実現するチャンスだ」と意気込んだ。久保氏らが母親を対象にしたアンケートや他社の子供向け施設などを調査。それまでは、「体幹を鍛える」や「知育」など、教育的要素を満たす遊びが必要と考えられてきたが、子供たちが自由に何かをつくったり、感覚的に楽しい運動などを重視することにした。
バンダイナムコグループで、ゲームソフトなどを開発するBNEのルーツの一部は、かつて「パックマン」などをヒットさせた旧ナムコにある。久保氏は、BNEでゲームセンター向けゲーム機などを手がけるAM事業部の浜野孝正氏に施設の説明をしたうえで「何かできませんか」と尋ねた。
浜野氏は映像を投影することで屋内に海を再現するという、事業部内で検討しているアイデアが使えると思い当たったが、問題もあった。通常、一つの機器を世に出すには3年程度かかるが、オープンまで残り約4カ月。「あの時点では基礎的な技術研究の段階で、本当に製品化できるかは怪しかった」と振り返る。