産経抄

「世界が見ている」 韓国にさらなる決断を促す勝算とは 12月26日

 慰安婦問題での韓国政府の腰の定まらない対応について、日本ではすっかり「ムービング(動く)・ゴールポスト」という言葉が定着した。苦労して問題解決の妥結点を探っても、いつの間にか韓国側がゴールを移動させて振り出しに戻ってしまうことを指す。

 ▼それだけに、安倍晋三首相の指示を受け、問題妥結に向けて28日に訪韓する岸田文雄外相には「高いハードルが待つ」(官邸筋)。昭和40年の日韓請求権協定で、問題は「完全かつ最終的に解決済み」との日本政府の立場は変わらない。

 ▼あとは人道的見地からどんなアイデアで一致できるかだが、硬化した日韓双方の世論の理解を得るのは簡単ではない。これまで譲歩しては裏切られてきた日本としては「今回が不可逆的な合意で、もうこの問題を蒸し返さないとの確約」(首相周辺)がない限り、一歩踏み出せない。

 ▼確かにここのところ韓国政府は、小紙前ソウル支局長の無罪確定など、当たり前の結論ではあっても彼らなりに一定の歩み寄りは見せている。果たして日本側に、韓国にさらなる決断を促す勝算はあるのか。

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