アジアで「讃岐うどん」の人気が高まっている。セルフ方式で、「早い、安い、おいしい」の和食のファストフードという点が海外の人たちの支持を得ているようだ。讃岐うどんの本場・香川県でうどん専門店を展開する「たも屋」(高松市)は10~12月中旬までに台湾に4店舗をオープン。来年3月にはインドネシア2号店、6月にはベトナムでの開店を予定している。
フランチャイズ(FC)による展開で、2年前から海外に乗り出しているたも屋。平成25年3月のシンガポールの「リャンコート店」を手始めに同国に3店舗、今年8月にインドネシア「エンポリウム・プルイットモール店」、10月には台湾の「屏東(ぴんとん)太平洋店」を開店した。
11月にオープンした「台北101店」では、毎月2千万円の売り上げ目標を設定。黒川保社長(53)は「香川県の讃岐うどん文化を世界中に広めたい」と、積極的にFC事業を進めている。
たも屋の味を忠実に再現するため、小麦粉とだしは船便で輸送。小麦粉の輸入が禁じられているインドネシアでは現地の食材を使った試作を何度も繰り返した末に本場の味に近づけた。
開店後も試行錯誤が続く海外店舗の営業だが、その難しさについて黒川社長は「簡単、合理的な作り方をいかにうまく現地のスタッフに伝えることに苦労します」と語る。店長候補や新店舗の店長教育に力を注ぎ、讃岐うどんの人気度アップを図る。海外店舗で教えるノウハウや人材教育は、日本でのスタッフ教育にも活用している。
うどんの海外進出は、セルフ方式の「丸亀製麺」を展開するトリドール(本社・神戸市)が先行し、インドネシアやマレーシアなどに店舗を構えている。現在は、2番手のたも屋が売りとする高品質な商品の提供が他社にも大きな影響を与えており、良質なうどん戦争が起き始めているという。
4年後にはアジアを中心に海外で50店舗の出店を目指すというたも屋。「本場の香川県で食べてみたいという外国人が増えて四国をはじめ、日本への観光客誘致にもつながれば」と黒川社長。和食人気を背景に、世界を股に掛けた讃岐うどんの浸透に期待を込める。