海道東征を紡ぐ 信時潔物語

(6)覚悟の曲「海ゆかば」、ルーツは賛美歌だった?

 当初は改まった席で歌われる儀礼歌という位置づけだったが、しだいに準国歌のように歌われるようになっていった。

 しかし戦後70年を経た現在。音楽的視点から、「戦後は不当にも『軍歌』のように扱われているが、実は本質的に『賛美歌』『宗教楽』なのである」(新保祐司著「信時潔」)という声もある。

 潔の生誕地・大阪北教会(大阪・中之島)の牧師、森田幸男氏(74)は、この名曲を新たな視点で解釈する。

 「『海ゆかば』のルーツがキリスト教の賛美歌にあるとすれば、その歌詞に出てくる『大君』はキリストとしても解釈できる。それは幼い頃、賛美歌を身近に聴いていた潔には、自然なことだったのではないか」

 正確な事情は、いまとなっては分からない。

 それでも森田氏は「『海ゆかば』は、戦時中に利用された時代背景とも相まって批判されましたが、別の理解も可能ではないか」といい、こう強調した。

 「(国威発揚などを目的に使われたという)イデオロギーがなければ、海ゆかばは、やはり名曲と認めざるを得ません」 

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