正論

養子縁組中心の児童福祉実現を 日本財団会長・笹川陽平

 われわれは過去40年間、社会的養護が必要な子供たちが家庭で暮らせる社会を目指して里親支援などに取り組んできた。その経験や、私自身も参加した日本財団の「社会的養護と特別養子縁組研究会」での検討を参考に、以下、意見を述べたい。

 ≪実の親子関係に近い特別養子≫

 家庭環境といっても、里親はあくまで一時的に家庭を提供する制度であり、児童福祉が目指す「恒久的な家庭」には養子縁組の方が勝る。特に法律的にも親子関係となる特別養子縁組は実の親子関係に近く、生みの親の元に戻る見込みのない子供には最も優れた社会的養護といえ、わが国も1988年、民法に取り入れた。

 しかし2014年度の成立件数は約500件。近年、民間斡旋(あっせん)機関での成立件数が増える傾向にあるが、児童相談所の姿勢が変わらない限り、大幅増は望み難い。社会的養護が必要な子供の措置(委託)先は、全国208カ所の児童相談所の判断に委ねられ、児童相談所の姿勢が社会的養護の実態を左右する関係にあるからだ。

 児童相談所は18歳未満の子供のあらゆる問題を対象とする。伝統的に施設養護を中心に措置先を決定してきた経過もあり、直ちに家庭養護中心に切り替えるのは難しい面があるかもしれない。

会員限定記事会員サービス詳細