10日付当欄で、東京電力福島第1原発の事故対応をめぐり、菅直人元首相が安倍晋三首相を東京地裁に訴えたものの全面敗訴した問題を取り上げたところ、菅氏は同日付の自身のブログで「産経新聞の『極言御免』の事実誤認」という反論を書いてきた。そこで、17日付当欄でそれへの返答を記すと、菅氏は、今度は20日付ブログで「恥知らず」「卑怯(ひきょう)」とさらにボルテージを上げてきた。
あなたにそう言われてもと当惑を禁じ得ないが、「紙面上で返答されたい」とのことなので、もう一回だけ書くこととする。
猜疑心と「イラ菅」ぶり
菅氏の主張は、産経新聞の平成23年5月21日付「首相激怒で海水注入中断」という記事は、虚偽報道であり、当欄がその点を黙殺しているというものだ。記事はこう書いている。
「東電は原子炉への海水注入を開始したにもかかわらず菅直人首相が『聞いていない』と激怒したとの情報が入り、約1時間中断した」
「東電側は首相の意向を受けてから判断すべきだとして、同(午後)7時25分に海水注入を停止した」
確かに、実際には第1原発の吉田昌郎所長が東電本店の指示に逆らい、独断で海水注入を続けたため、中断はなかった。だが、記事が出た段階ではその事実は判明しておらず、政府・東電統合対策室自体が午後7時25分のいったん停止を公式に発表していた。