八百万(やおよろず)の神々が集う島根県出雲市で、「神様が見つけてくださったのでは-」と1匹の猫の大捜索劇が話題になっている。今年3月、出雲大社を観光で訪れた神奈川県の家族が連れていた三毛猫が行方不明になり、地元の人たちが協力して捜索を続けたところ、約8カ月後に当地で無事保護された。発見された11月28日は出雲大社に集まった神々を見送る神事の日で、猫は飼い主が引いたおみくじ通りの方角で見つかった。これは神話の地ならではの神がかりパワーか、それとも出雲の厚い人情のたまものか。(中村睦美)
車から消えたフク
この猫は4歳のメス「フク」で、飼い主は神奈川県鎌倉市に住む女性(49)。家族3人で今年3月下旬、フクを含む猫3匹とともにキャンピングカーで出雲市を訪れた。24日夜に出雲大社近くの道の駅「大社ご縁広場」に車を止め、仮眠を取っている間にフクがいなくなった。
翌朝まで周辺を捜したがフクの姿はない。参拝どころではなくなり、女性は急きょ、情報提供を呼びかける簡素なチラシを製作。12日間滞在して捜したが、見つからなかった。
協力の輪広げるSNS
女性はその後も月1回ペースで出雲を訪れ、数日滞在しては捜索を続けた。ツイッターなどで現状を伝えるうち、動物愛護団体「アニマルレスキュードリームロード」(本部・出雲市)の原ゆかりさん(46)らと出会った。捨て猫の保護などを手がける原さんは、情報の集約や捜索方法のアドバイスなどに当たった。