小中学校の「パソコンの授業」で習うことは、編集ソフトを使った学級新聞の作り方や、表計算ソフト、メールソフトの使い方などだ。また子供用のコンピューター学習玩具として一般的なのは、タブレット端末を赤や黄色のプラスチックで装飾したもの。これらは液晶のタッチパネルの使い方を学べるし、内蔵ソフトで漢字を覚えたり、算数を学ぶこともできる。だが、コンピューターの仕組みを学ぶこととは縁がない。
電子レンジの使い方を覚えることと、電子レンジの作動原理を理解すること、そして電子レンジに内蔵されているマイコン(マイクロコントローラー)のプログラムの1行1行がどんな制御を担っているのかを理解することはそれぞれ別だ。
仏作って…
プログラムを書かれたチップ(電子部品)は、いまや電気で動くほぼ全ての製品に内蔵されているといってもいい。その重要性は、軍事の世界では韓国が端的に示した。
次期戦闘機(KFX)の開発にあたって、韓国政府は今秋、新型のAESAレーダーの技術を提供して欲しいと米国に求めたが、あっさり断られた。直後に韓国の国防科学研究所は「すでに自力開発している」と反論し、国民に向けて「完成した新型レーダー」を公開したが、実際に完成していたのはハードだけ。レーダーの電波信号を分析し、距離や方向などを的確に表示するためのソフトウエア(プログラム)はできておらず、米国や欧州各国に協力を求めたものの、いまだ開発のめどは立っていない。いくらハードが完成しても、ソフトがなければ「仏作って魂入れず」だ。