秘録金正日(56)

「核兵器」隠して米からドル奪う秘策とは…題してバカ装う「猪八戒外交」

 米国は「北朝鮮の自発的な申告による核検証は不可能」だと判断。核施設への空爆に踏み切ろうとする。だが、元大統領、ジミー・カーターの訪朝で事態は急転する。会談で金日成が「核(開発)凍結に同意する」と約束したからだ。

 国際社会はいまだに日成が外交方針を決めていると錯覚していた。会談には、姜錫柱が付き添い、カーターの「核凍結の要求」についても答えていた。米側は姜が日成に助言し、協議を指揮していると誤解していたが、裏で姜を操っていたのは正日だ。

 17日に大同江(テドンガン)船上で行われた会談に日成夫人の金聖愛(ソンエ)が登場するのも、手の込んだ正日の演出だった。朝鮮戦争で戦死した米兵の遺骨送還を求めるカーターに、聖愛が船室外から戻り、「要望を受け入れては」と夫に耳打ちして大団円を迎えたのも、監視カメラで推移を見ていた正日の指示だったとみられる。

強硬派でっち上げ「戦争」示唆

 北朝鮮の内部資料によると、その後、米国との協議に臨む姜錫柱に、金正日は、中国の伝奇小説『西遊記』に登場する「猪八戒(ちょはっかい)のように振る舞いなさい」と言い渡した。

 「猪八戒は、正直なような、ばかなような、かわいそうな、鈍いようなふりをしながらも、食べたい物は全て食べてしまうではないか」と説明した。

会員限定記事会員サービス詳細