浪速風

紅白卒業は「襟裳岬」を歌ってほしかった

「襟裳岬」はカラオケの愛唱曲である。生まれ育った北海道を思い浮かべながら、マイクを握る手につい力が入る。ただ、サビの部分で繰り返される「●(=歌記号)襟裳の春は 何もない春です」には抵抗があった。長く厳しい冬に耐えてようやく迎えた北国の春を「何もない」とは、失礼だなぁ~と。

▶作詞した岡本おさみさんは日本中を旅して、印象を詩にした。その中に北海道で昆布採りの女性を見て書いた2編がある。一つはほぼ「襟裳岬」の歌詞そのまま。そして、もう一つ方に「襟裳の秋は何もない秋です」というフレーズがある。秋がどうして春に変わったのかは謎だが、岡本さんの心情はよくわかった。

▶何でもありすぎる都会のわずらわしさから逃れて、何もないことの豊かさを知る-。歌詞には当初、抗議があったそうだが、知名度アップの功績で地元えりも町から感謝状が贈られた。今年で紅白歌合戦を卒業するという森進一さんに「襟裳岬」を歌ってほしかったが。