「少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持する。その国家としての意志を明確にしたい」-。安倍晋三首相は9月24日に「1億総活躍社会」の趣旨を熱っぽく説明した。しかし1100万人もの高齢者に一律3万円もの給付金を配り、子供1人あたり3千円の子育て給付金を打ち切る今回の構図は、首相の方針と違うメッセージを子育て世帯に与えないか。
政府は、景気浮揚策としても高齢者に3万円を配る効果はあると説明する。ただ、今回の高齢者への現金配布に対しては「砂漠に水をまくようなもの」(自民党閣僚経験者)と身内からも批判の声がある。
政府も子育て対策に手を抜いているとは言わない。来年度からひとり親世帯に支給する「児童扶養手当」の増額や、保育の受け皿を5年間で50万人増やす方針を打ち出している。