関西の議論

「無法者の好き放題」許せるか 自転車保険の義務化では不足、もっと荒療治をの声

【関西の議論】「無法者の好き放題」許せるか 自転車保険の義務化では不足、もっと荒療治をの声
【関西の議論】「無法者の好き放題」許せるか 自転車保険の義務化では不足、もっと荒療治をの声
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 暴走する自転車の歯止めになるか。兵庫県が10月、全国で初めて自転車の利用者に損害賠償保険への加入を条例で義務付けた。増加傾向にある自転車と歩行者の事故で多額の損害賠償が発生するケースが相次いでいることから、利用者の安全運転への意識を高め、事故が起きた際の被害者救済に役立てるのが狙い。条例施行から約2カ月。県には全国の自治体から問い合わせが相次ぎ、保険の加入は順調に伸びているものの、「加入率100%」にはほど遠い状況だ。条例が事故の減少に直結するか疑問視する声も上がる。取り組みが自転車利用者の意識改革につながるのか。現状を追った。(坂田弘幸)

自転車利用者すべてに

 兵庫県で10月に全面施行された「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」は、交通安全ルールの順守や運転時のヘルメット着用などの施策が盛り込まれた。

 目玉は自転車保険の加入義務化。県内で自転車を利用する場合、「他人の生命または身体の損害を補償する」保険への加入を義務付けた。県内で自転車を利用する人すべてが対象で、利用者が未成年の場合には保護者、従業員が利用する場合は企業に対して加入を義務付ける。自転車販売店やレンタルサイクル店には自転車を販売したり貸出ししたりする際の保険加入の確認を求めている。

 条例制定の背景にあるのは、自転車が加害者となる事故が増加傾向にあることだ。

 警察庁によると、自転車が絡む交通事故は平成26年に約10万9千件発生し、542件で死者が出た。車が関係する事故が8割超だが、自転車同士や歩行者との事故も約5400件あった。兵庫県内でも16年に93件だった自転車と歩行者の事故が、26年には179件に増加している。

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