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将来の美術界を担うアーティストの作品を集めた展覧会「DOMANI(ドマーニ)・明日展」が、東京・六本木の国立新美術館で開かれている。
文化庁の「新進芸術家海外研修制度」で海外に派遣された作家の作品を紹介する本展は今回で18回目。「表現と素材 物質と行為と情報の交差」をテーマに、海外研修経験者の中から「特に表現と素材の関係が際立つ作家を中心に選んだ」(文化庁)という。
3年前、ドイツに留学した古川あいか(33)の絵画は個性的。描かれているのは、起き抜けの布団や脱ぎ捨てられたシワだらけの衣類だ。作者は「普遍的に存在する一部」だという。起床したときの布団は日常的に見ているものだが、あまりにも意外過ぎるモチーフ。普通なら絵になるとは思えない題材に向き合い、ある作品ではモノクロームの渋いトーンで、別の作品ではカラフルに描出した。展示方法もユニーク。キャンバスを枠から取り払って、天井からカーテンのようにつったり、壁面に直接張り付けて壁画のように見せたりと、キャンバス作品の可能性を示した。
朝の光の変化を詩的で幻想的に描いたのは富岡直子(49)だ。画面に表れるのは空と水のある風景で、淡いピンクやオレンジ、ブルーなどの色彩が溶け合う。米国留学で体験した都市の朝の光景から着想を得たという。富岡は一瞬で変化する光を脳裏に留め表現。現実ではなく心象風景といってもいい。
人間をモチーフに奇妙な彫刻を発表しているのは松岡圭介(35)。木彫の有機的な人体はデフォルメされ、足は細く長く、その指は異常に長い。かがんだり、寝転がったりしたポーズは奇妙だ。表面には鉄粉などを付着させ金属的な質感を漂わす。松岡は「人間とは何かを知りたい」と、1年間米国に留学。滞在中、ブロンズ彫刻に挑むなど表現の幅を広げた。