〈幼い頃から絵を描くのが好きで、高校卒業後は画家を目指して女子美術大学短期大学部に進学した〉
子供の頃から「私は画家になるために生まれてきた」と思い込んでいました。「勘違い」から始まった人生です。家ではウサギやカメなどたくさんの動物を飼っていたのですが、その死んでいく様子を見て、「死」や「もののけ」など目に見えない世界に興味を持ち始め、そういうものを描きたいと思っていました。
高校生になって美大を目指すことにしたとき、両親からは「美術で生きていくのは難しい」と反対されましたが、私はどうしても進学したくて、高校2年から美大向けの予備校に深夜のアルバイトをして学費を稼ぎながら通いました。家にほとんどいないような毎日に、両親も「そこまで本気なら」と認めてくれて、女子美短大に進学することができました。
〈平成14年に入学して間もなく銅版画に出合った。16年に卒業した後も2年間、研究生として大学に残った〉
洋画専攻で入学しましたが、デッサンしか勉強していなかったので授業についていけなかったんです。その中で銅版画の授業を受けたとき、線の美しさに「これだ!」と思い、専攻を銅版画に変えました。銅版画は描いた溝に薬品をつけて化学反応を起こし、そこにインクを入れて表現するので、温度などいろんな条件で線が変わります。その面白さにもひかれました。