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海上に敷設された機雷を除去する掃海任務は掃海艦艇が担うのが世界標準だが、海上自衛隊が運用する「MCH101」ヘリコプターは、上空からの「航空掃海」機能を持つ。各国軍でも珍しく、自衛隊のほかは米軍が実施しているだけだという。
MCH101は、「MH53E」掃海・輸送ヘリの後継として平成19年3月に初号機が引き渡された。英国とイタリアに本社を置くアグスタ・ウエスト社が開発し、川崎重工がライセンス生産している。陸海空自衛隊を通じ、作戦機としては初の欧州製となっている。
掃海艦艇と同じように、カッターが付いた掃海具で海中に仕掛けられた係維機雷のロープを切断。浮いてきた機雷を、水中処分員(EOD)による爆破処分や艦艇からの銃撃処分で取り除く。掃海艦艇のように係維機雷に近づく必要がなく、機雷に感応して爆発被害を受ける心配がないことが航空掃海のメリットといえる。
ただ、上空からの航空掃海には効率性に疑問符がついていることは確かだ。海自幹部も「あくまで機雷除去のメーンは掃海艦艇が担う」と指摘する。
MCH101は、掃海能力よりも、むしろ艦載型の輸送ヘリとしての期待の方が大きい。全幅18・6メートル、全長22・8メートルで、最大36人が搭乗できる広いキャビンを備える。3基のエンジンを搭載し、安全性にも定評がある。航続距離は約900キロを誇る。