開発ヒストリー

三菱鉛筆油性ボールペン「ジェットストリーム」が年間1億本の爆売れ 開発者の「不満」が生んだなめらかな書き味

 ただ、今度は発色を良くするために染料も変える必要が出てきた。そこで染料ではなく、溶剤に溶けずに小さな粒として残る顔料を混ぜることにした。油性ペンの担当になる前はスタンプ台を開発していた。一般的なスタンプ台は、インクに顔料を使う。三菱鉛筆にはもともと顔料を溶剤に均一に分散させ、安定させるノウハウがある。ならば油性ペンにも生かせばいい。常識外に近い発想だが、読みはズバリ的中した。

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 ところが、試作したインクを使ったペンを社内会議に持ち込んだところ、拒絶に近い反応が待ち受けていた。孤立無援の状況を救ったのは「面白そうだからもう少し様子を見てみよう」という、当時の技術担当常務の一言だった。市川氏は「あそこで助け舟を出してくれなかったら、商品化チームを発足させることはできなかった」と振り返る。

 ペン先の開発者らを加えて正式に発足した商品化チームは、インク以外にもさまざまな工夫を重ねていった。その一つに「逆流防止機構」がある。