日本の生命科学や医学分野のトップレベルにある研究者100人の論文が、他の論文や特許の出願書類にどれだけ引用されたかを統計で分析した結果、京都大の山中伸弥教授の人工多能性幹細胞(iPS細胞)の論文がいずれも1位だったと、引用数を統計を使って分析した京大の研究チームが14日、発表した。
チームの依田(いだ)高典・京大大学院経済学研究科教授(応用経済学)は「学術界で質が高いと評価された論文は、特許にも多く引用され、産業の研究開発につながっていることが証明された」としている。
調査は平成8年~24年の16年間に引用された論文4763本を分析。引用回数1位は、山中教授が18年に発表したマウス由来のiPS細胞に関する論文の2670回で、平均引用回数(54回)の約49倍だった。特許への引用数1位も、山中教授が19年に発表したヒト由来のiPS細胞作成に成功したとする論文の414回。平均引用回数(4回)の約104倍となった。
また、引用回数が多い質の良い論文は、研究費が平均で年間1億9千万円前後だったと分析。依田氏は「研究費が多いほど、研究や論文の質が良くなるわけでもない」と検証した。