書評

書評家、西野智紀が読む『羊と鋼の森』宮下奈都著 仕事の伸び悩み…森をさまよい始めた人へ 

 正解のないこの抽象的な音の世界が、著者特有の豊かで巧みな比喩と絶妙に調和して、より深遠な境地へと到達している。それは転じて、どんな仕事にも通底する、大切なハートの部分を描き出すことにも成功している。だからこそ、終盤に外村が、自信や才能の有無ではなく、お客さんがピアノを最も美しく奏でられるよう努力する姿に勇気づけられるのだ。(文芸春秋・1500円+税)

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