チームの中でも唯一無二の存在といえる「守護神」というポジション。この重責の中で今シーズン、挫折を味わった男がいる。西武の高橋朋己投手(27)。2年連続で20セーブをマークしながら、後半戦では守護神の座を剥奪された。3年目の「挫折」から、左腕が学んだ教訓は何か。(浅野英介)
高橋朋の3年目のシーズンは、意外な形で終わりを告げた。
9月23日のオリックス戦(西武プリンスドーム)。打球を処理しようとマウンドを駆け下りた際に右足首をひねり、そのまま病院へ直行。その後の検査の結果、「右足腓骨骨折」であることが判明し、今シーズンは幕を閉じた。
2年目の昨季は29セーブを挙げて守護神の座をつかんだ。ことしの成績は2勝3敗22セーブ、防御率2.92。残した数字とは裏腹に、高橋朋本人の実感は違っていた。
「前半戦のことは、正直あまり覚えていないんです。どちらかといえば、不調のときにどうやって抑えたのか、そのときのことしか覚えていない」
前半戦はセーブを重ねてきた左腕だが、「異変」が生じたのは夏場を迎えたころだった。
登板後は体が重く、疲れがなかなか抜けない。「しんどいと初めて思った」。それは、プロ3年目で初めて味わう「疲労感」だった。