高齢者の地方移住、対象「50代以上」に引き下げ 「お試し居住」も提起 日本版CCRC有識者会議が最終報告

 有識者会議は、地方への移住構想について「あくまでも住み替えの意向のある高齢者の希望実現を図る選択肢の一つ」と位置付けた。「意向に反し移住を進めるものではない」とも強調し、高齢者の地方移住に「姥(うば)捨て山」との批判があることに配慮した。

 報告書では、希望する移住先に短期的に住む「お試し居住」の機会を設けるように提起。費用に関しては高齢者夫婦の厚生年金の標準的な年金月額約21万8千円で生活できるような水準を想定した。

 また、移住資金を確保できるよう高齢者が所有する住宅を若年層に売却や貸し付けをする「住み替えサービス」の必要性も指摘。移住先で生きがいを持って暮らすため就労や社会活動などを斡旋するサービスの提供にも触れた。こうしたアクティブシニア(活動的な高齢者)の活動を支えるとともに、介護が必要になった場合でも地域の医療・介護サービスを継続的に受けられるよう求めた。

 受け入れ側の地方自治体に対しては介護保険料の負担が重くならないよう介護保険の財政調整制度の強化を促した。政府によると、CCRCに取り組みたいという自治体は全体の14・7%に当たる263に上る。

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