有機肥料偽装問題

「何だよ、この野郎!」と秋田知事も激怒 肥料会社の再生法申請で農家は泣き寝入りか…有機農産物の認証失う恐れ

記者会見で民事再生法適用申請を発表する太平物産の佐々木勝美社長(左)と、報道陣に偽装への関与を認める元秋田工場長の伊藤茂美常務(いずれも渡辺浩撮影)
記者会見で民事再生法適用申請を発表する太平物産の佐々木勝美社長(左)と、報道陣に偽装への関与を認める元秋田工場長の伊藤茂美常務(いずれも渡辺浩撮影)

 全国農業協同組合連合会(JA全農)が東日本11県で販売した有機肥料の成分表示が偽装されていた問題で、製造元の太平物産(秋田市)が11月27日、秋田地裁に民事再生法の適用を申請した。偽装によって、肥料を使った農家が有機農産物や特別栽培農産物の認証を失ったり、補助金を受けられなくなる恐れが出ている。太平物産がなくなると、農家への補償は誰が行うのか?

補償総額は30億円以上か

 「関係先と協議して取り組んでいきたい」。再生法適用申請を発表した記者会見で、太平物産の佐々木勝美社長は補償の見通しについて、そう語った。

 代理人の粟沢方智(あわざわ・まさのり)弁護士は、太平物産の負債総額は現時点で約33億円とした上で、補償額は「それと同額くらいか、それ以上」との見通しを示した。

 販売元の全農は、「有機農産物」などとしていたラベルの貼り替えが必要となった場合の費用や、価格を安く販売しなければならなくなった場合の差額などを補償する方針を発表した。その費用は後で太平物産に請求することになる。

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