司法試験漏洩

被告の明大元教授「娘のような気持ちに」「泣かれて何とかしたいと」 検察官「交際女性のため…動機あまりに愚か」懲役1年求刑 裁判官も首ひねり質問

 「公平であるべき国家試験の根幹を傷つけてしまった。大変申し訳なく、悔いている」「娘のような気持ちになって視野が狭まり、当時は犯罪だと思い至れなかった」

 司法試験問題を教え子で交際相手の20代の女性受験者に漏洩したとして、国家公務員法(守秘義務)違反罪に問われた青柳幸一被告(67)は10日に東京地裁で開かれた初公判で起訴内容を認め、そう謝罪した。

 青柳被告はさらに、「憲法上の平等原則などを研究テーマとしており、フェアをモットーとして生きてきたが、フェアではないことをしてしまった。司法試験に関わる全ての人や、これまでの教え子らに顔向けできない」とも陳述した。

 ただ、検察官や裁判官からは「なぜ法学研究者でありながら、そんな愚かなことをしたのか」「どれほど悪質な犯行か分かっているのか」と厳しく追及され、消え入りそうな声になる場面も。「これまでの職や社会的立場、今後の研究者生命を全て失った」という青柳被告。不正の代償はあまりにも大きかった。

 青柳被告は眼鏡をかけ、濃紺のスーツ姿で入廷した。髪には白髪が目立った。

 検察側の冒頭陳述などによると、青柳被告は妻子がありながら、平成25年から法科大学院の講義を受講していた女性と交際。交際は女性が大学院を修了した26年3月以降も続いた。この年の5月、女性は司法試験を初めて受験したが不合格。青柳被告は泣いている女性を見て、「なんとかサポートしてやりたい」と思うようになった。27年2月から5月の司法試験直前まで、自身が作成に携わった短答式試験と論文式試験の問題を教え、添削するなどした。

 女性は著しい高得点を獲得したが、採点した別の考査委員が不審に思い、法務省に通報。その際、青柳被告はこの考査委員に「信頼している考査委員から漏れたとは思えない。良くできた答案もあるんじゃないか」と事態の収拾を図っていたという。