夫婦が滞在している関西のホテルでは、バイキング形式のレストラン会場で、このツアーの同行客が身ぶり手ぶりを交えながら高齢の日本人女性にポットの使い方を教えていた。そのうえ、わざわざ空席まで女性を案内。女性が「ご親切に、どうもありがとうございました」と礼を述べたが、同行客はただ手を振っただけで言葉を発することは一度もなかった。
そのそばでは中国人客らが会場全体に響くような大声で会話をしていた。
「お静かに」の張り紙が目立つ博物館
大声で会話する中国人観光客を横目に、日本では静かに振る舞う台湾人たちの実態はこのツアーだけにとどまらない。
名古屋市内の大学に留学中の孫娘に会うために来日し、帰台途中で関西に寄ったという70代ぐらいの台湾人夫婦も、大阪・心斎橋のコーヒーショップでテーブル席に横並びに座り、互いの耳元に近づきながら小声で会話を交わしていた。
「毎年、旅行で日本に来ているが、今年は孫娘から『急に中国人観光客が増えたから、人前で大声で中国語を使わないように』とクギを刺された」と夫婦は説明した。
中国人観光客のマナーに関しては、台湾社会でも問題となっている。
中国歴代王朝の美術品などを所蔵する台北の故宮博物院ではここ数年、中国人観光客が押し寄せるようになったことから館内のいたる所に「観覧はお静かに」との掲示がなされている。