安保法廃止集会詳報(4)

学者の会・三島憲一大阪大名誉教授「誰も住んでいない小さな島を尖閣、尖閣と騒ぐのは非現実的」

 「もう一つの考え方は、日本国憲法である程度実現している基本的な価値や規範を重視するものだ。言論の自由が保障される基本権もそうだし、何よりも殺し殺される関係の永遠の連鎖を断ち切ることにした憲法9条を重視するものだ。人によっては、解釈改憲の結果、現実に自衛隊が武力を持っている以上、9条はフィクションにすぎない、フィクションに固執するのは欺瞞(ぎまん)だという。しかし私はそうは思わない。長いこと戦後の歴史の中で、現実主義者と規範主義者のせめぎ合いの中で、このフィクション状態を守ろうという新たな規範ができている」

 「政治は法律の条文だけではない。公共の議論の場での合意に大きく縛られるものだ。私は理想論を言っているのではない。戦後の歴史の現実を言っているのだ。例えば防衛費は国民総生産の1%という枠組みは、こうした新たな規範の中で出てきたものだ。現実主義者こそ、見果てぬ夢を見ている。彼らはアジアのヘゲモニーという大昔の夢を、あり得ない非現実的な夢を、今度はアメリカとくっついて追いかけている」

 「その一方で歴史を検証する会を党内につくり、第二次世界大戦の正当化という、これまた非現実的な夢を語り合っている。そして言論を封じ込める夢も。これらはすべて昭和の妖怪といわれた岸信介の夢だ。昭和の妖怪の孫とそのお友達、平成のゾンビたちも、この夢を語り始め、周りに噛(か)みつき、官僚も政府も経団連もゾンビ化が始まっている。600兆円や総活躍もゾンビの白昼夢だ。今までは世論が怖くて口にしたくても言えなかった日本の行政府の夢が現実主義の名の下に語れるようになった」

会員限定記事会員サービス詳細