くだんの斬新なデザインのグラスは、いまでは土産ものとして販売されているのみだが、やはり名物と聞けば使ってみたくなるのが人情というもの。乗客のなかには、もの珍しさと実用性を兼ねて、これを購入してワインを飲む人もいる。私もさっそくひとつお買い上げして、オリジナルラベルの白ワインを注いでみた。正直に言うと、大きくバウンスすればどんなグラスだってこぼれるわけで、そのうえななめが唇にあたって飲みづらいったらない。グラスのほかななめデザインシリーズのマグカップもあり、これにカフェオレやホットチョコレートを入れる人もいた。
それにしても、さすがスイスを代表する観光列車らしく、土産ものが充実している。車内販売のワゴンにカメラを向けると、なんと商品を並べて見せてくれると言うではないか。「素敵なものがいっぱいあるから、日本のお友だちにも紹介してね」とアンティヤさん。スイス人の観光客の扱いのうまさといったら、ほんとうに舌を巻くばかりだ。