浪速風

モーロクもいいじゃないか

赤瀬川原平さんの「老人力」は、加齢による衰えを肯定的にとらえてベストセラーになったが、ますます加速する高齢化時代に新しい老人指南書が出た。俳人で佛教大学名誉教授の坪内稔典さんの「モーロクのすすめ」(岩波書店発行)。本紙朝刊文化面の人気連載を一冊にまとめた。

▶「耄碌(もうろく)」を辞書で引くと「おいぼれること」と出ている。「おいぼれる」は「年老いて頭やからだのはたらきが鈍くなる」だが、カタカナで書くとずいぶん印象が変わる。「モーロクこそ、長い老後を生き抜く術、頼る杖。適度に虚脱し、存分に弛緩し、時たま覚醒し、ちょっと合間に俳句も」と惹句(じゃっく)にある。

▶坪内さんは「若い」「がんばる」「忙しい」を禁句にしている。「若い」はほめ言葉のようだが、60代や70代になって、若さや青春をありがたがるのは変だ。「すてきな老いですね」とか「老いぶりがいいよ」と言われたい…などの10の指南。小欄も早くモーロクしたくなった。