安倍晋三政権が来年度の税制改正で、法人税減税の内容を固めた。法人税の実効税率を予定より1年早く20%台に引き下げ、赤字企業にも適用する外形標準課税の対象拡大などで減税財源を捻出するという。
日本経済の成長を促すには、企業が着実に賃上げや設備投資に取り組む必要がある。そうした経営環境を整え、国際競争力を強化するためにも法人税の実効税率をいち早く引き下げるのは妥当だ。
問題は税負担が軽減された企業の資金の使い方だ。恩恵を受ける企業は、将来を見据えた自主的な判断で、新規投資や賃上げなど「攻めの経営」に資金を振り向けてほしい。
減税分がそのまま現預金などの内部留保に回るようでは、経済活性化にはつながらない。
国と地方を合わせた法人税の実効税率は、現行の32・11%を再来年度までに29%台とする方針だった。安倍首相はこれを1年早めて下げるように指示した。これを受けた与党協議でも前倒し減税の実施が決まった。
政府が産業界に賃上げや設備投資を求めた官民対話では、経団連が法人税減税の拡大を求めた。今回の実効税率引き下げは、政府・与党が要請に前向きに応えたものだ。今後は税負担が軽減される企業側の取り組みが問われよう。