正論

東芝不正会計問題は企業統治改革の誤りを露呈した 加護野忠男(甲南大教授)

 東芝の不正会計問題は、東芝という個別企業における企業統治の欠陥として調査・議論されているが、より広く企業統治制度改革の問題として議論されなければならない。東芝に責任がないわけではないが、このまま東芝の責任追及だけをしていたら、制度づくりの重大な瑕疵が見逃されてしまう。

 ≪問題の遠因は2つの新制度≫

 東芝は、新しく改革された企業統治制度を率先して採用してきた。この新しい制度がより多くの企業にも採用されるようになれば、同じような不祥事が随所で起こる可能性がある。

 東芝問題の遠因は、会社制度改革のなかでも2つの新制度にある。1つは、社外取締役を中心とした経営監視制度である。もう1つは、四半期決算制度である。ともにアメリカをまねて導入された新制度である。

 社外取締役の増員は、不正会計の重要な原因である。社外取締役は、社内の人脈を持たないために、鮮度の高い社内情報を得るのが難しい。今回の事件だけに限らず社内の不祥事を防ぐためには、根拠のない噂段階の情報を得て手を打つことが必要である。

会員限定記事会員サービス詳細