政界徒然草

「共謀罪」ってそれほど危険なのか? 組織犯罪防止条約の非加盟国はもはや日本、北朝鮮、南スーダンなどわずか…

 「安倍政権はただでさえ安全保障関連法の時に『悪魔みたいだ』といわれていたのに、その次にすぐに反発が大きい共謀罪をやるのは難しい」

 政府関係者はこう指摘する。安全保障関連法の成立で内閣支持率が下落した後だけに、来年7月の参院選を前に、政府内には政権の体力を再び奪うことは避けたい思惑がある。

 別の政府筋は「タイトな国会日程を考えると、次期通常国会で共謀罪まで手を広げる余裕はない。紆余曲折もある話なので複雑な議論を巻き起こす。これに精力を注ぐよりも、今できるテロ対策に集中すべきだ。仮に法案ができてもサミットには間に合わない」と指摘する。

 ただ、資金洗浄(マネーロンダリング)やテロ資金供与対策の国際基準策定機関「金融活動作業部会」(FATF)は昨年6月、日本に迅速な法整備を求める初の勧告を公表した。こうした事態に、外務省筋は「テロ対策で日本が抜け道となれば、全ての国の協力の意味が薄れてしまう」と危機感を強める。法整備を避け続けることによって、国際社会で孤立する可能性もあるという。

 これまでの共謀罪をめぐる議論では、法の拡大解釈による不当逮捕や人権侵害につながりかねないと誇張された批判が巻き起こった。

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