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パリ同時多発テロを受けた国内テロ対策の一環として「共謀罪」の新設が焦点となっている。重大犯罪の謀議に加わっただけで処罰対象とする内容だが、これまで3回も廃案となっている。自民党内ではテロの攻撃対象になりかねない来年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や2020年東京五輪・パラリンピックを見据え、法整備の検討を促す声が強まっている。一方の首相官邸側は次期通常国会への法案提出を見送る方針を示唆しているが、この消極的な姿勢の背景には何があるのか。
「政府として重要な課題と認識しているが、これまでの国会審議で不安や懸念が示されたことを踏まえ、慎重に検討している」
安倍晋三首相は11月22日、訪問先のマレーシアの首都クアラルンプールで行った記者会見で、共謀罪創設の必要性を認めたものの、慎重な姿勢を崩さなかった。萩生田光一官房副長官も同日、次期通常国会への法案提出について「考えていない」と明言。その上で「国民の理解を得ていないわけだから、どういうことが政府の思いとミスマッチだったのか、さまざまな検証を加えてからでいいのでは」と強調した。
だが、共謀罪がないことによって、日本政府は「テロとの戦い」に挑む国際社会の潮流に乗り遅れているのが現状だ。