若手記者が行く

ついに完成「昆虫ソース」 イナゴのほかトノサマバッタも使用 焼き魚やコロッケに合う不思議な味

 「いなか伝承社」を主宰する現在は、遊びを通して農業の楽しさを学んでもらう活動などを行っており、今夏には紀の川市でたらい舟を使って遊ぶ「リアル一寸法師」体験のイベントを開催した。

 たらい舟は同市の農家がハスの花を摘み取るために池に浮かべて使う農具の一種。イベントは県内を中心に、10~40代の約10人が集まり盛り上がった。「和歌山には見方を変えると楽しめる文化がたくさんある。ここにしかない魅力を発信したい」と田中さんはいう。

 ここにしかない魅力-。イナゴソースもその一つになるだろうか。

新しい昆虫ソースも?

 ソースは「いなか伝承社」のサイトを通じ11月から販売。近畿地方だけでなく、関東や九州の飲食店などからも注文があるといい、田中さんはビン詰め作業に余念がない。

 ビン詰めはすべて手作業。午前7時ごろ、日の出とともに作業場に入る。おけの中のソースはまだ昆虫の外殻が混ざっているので、そのままではビン詰めできない。濾(ろ)紙で少量ずつこし、半日かけて濾過する。

 これを2回繰り返し、抽出して透明になったソースは火にかけて麹菌を殺菌。その後、もう一度濾過させて不純物を完全に取り除いたものをビンに詰める。

 火に通すと甘い香りが広がるそうで、「半日はこの作業に追われている」と田中さん。バッタの絵などが描かれたラベルも手作りで、1枚1枚、丁寧に貼り付ける。「朝から、ずっと作業をしていると、職人になったような気分になります」と苦笑い。白衣を着て、黙々と作業に打ち込む姿は職人というよりも研究員のように見えるが…。

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