広島県福山市御幸町の介護事業所「グループホーム かざぐるま」で、30代の男性介護職員が入居している80代の認知症の男性に、両足を押さえつけるなどの虐待をしていたことが30日、同事業所への取材でわかった。20代の男性職員も数人に暴言を吐くなどの心理的虐待を行っていたことが判明し、福山市は同事業所への行政処分を検討している。
同事業所によると、30代の男性職員は今年6月ごろ、入居している認知症の男性の足に、プロレス技の「4の字固め」をかけて虐待した。このほか、20代の男性職員が不特定多数の人がいる場所で、別の認知症入居者に対して犬を連想するような名前で呼ぶなど、心理的虐待も行っていたという。2人はともに自主的に退職した。
市は、関係者からの情報提供を受け、事業所を運営する介護事業者「リブネット」(同市御幸町、広川彰代表)を10月に監査したが、リブネットは「身体的虐待はなかった」と虚偽の報告をした。このため、市は入所者への虐待行為と、虚偽報告に対する行政処分を検討している。
同事業所は1階がデイサービス、2~3階がグループホームで、グループホームは個室で区切られている。要支援2以上の認知症の高齢者が対象で、26人が入居。事業所は、入居者全員の親族に虐待の事実を個別説明したという。
事業所の広川琢哉役員は産経新聞の取材に「関係者に申し訳なく、謝罪しかない。再発防止に努めていく」と話した。