消費税率10%への引き上げと同時に導入する軽減税率制度をめぐる自民党と公明党の与党協議は、30日から最終攻防に入る。平成28年度の与党税制改正大綱の決定を12月10日に控え、それまでに軽減税率の詳細な内容で合意しておく必要があるからだ。しかし、これまでの協議で一致したのは事業者の経理方式のみにとどまる。財源や対象品目をめぐる主張の隔たりは大きく、着地点をどう見いだすかが焦点だ。
自民党税制調査会は29日、非公式の幹部会合を開き、軽減税率の財源について、「生鮮食品」への適用分が賄える4000億円を上限にすると改めて確認した。対する公明党は、生鮮品に加え、「菓子と飲料を除く加工食品」(必要財源は計8200億円)への適用を求めて譲らず、主張はかみ合わないままだ。
首相官邸サイドは「公明党案を拒むと、来夏の参院選での協力に響く」と懸念し、自民党や財務省に財源の上積みを求めている。だがこの日の議論でも、自民党税調は「4000億円の枠内」との主張を変えず、議論は膠着状態に陥った。
自民党税調が軽減税率の財源拡大に慎重なのは、低所得者向けの社会保障の充実策「総合合算制度」の導入見送りで確保した4000億円以外に、財源のアテがないためだ。
公明党は新たな財源としてたばこ税の増税策をとなえる。だが、消費税率引き上げの際、たばこの販売価格には他のコスト上昇分も転嫁され、増税分以上の値上げとなる。消費税に加えてたばこ税まで増税すると大幅な値上がりとなり、喫煙者離れが進んで税収増はほぼ見込めなくなる。