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青森発 財政健全化団体脱却の大鰐町、官民一体で基盤強化

 リゾート開発の失敗に伴い、全国で唯一、財政破綻の懸念がある「財政健全化団体」となっていた青森県大鰐町が平成26年度決算で財政健全化計画を達成し、健全化団体から脱却した。目標の33年度から7年前倒しでの計画完了の背景には行政、議会、町民一体となった行財政改革がある。だが、今後も財政基盤の強化に向けた町の一層の取り組みは避けて通れない。(福田徳行)

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 大鰐町はバブル期に町出資の第三セクター、大鰐地域総合開発と町開発公社がスキー場や温泉のリゾート開発に失敗。100億円を超える債務を町が肩代わりしたことから財政が悪化した。20年度決算で、財政規模に対し将来予想される出費や負債の割合を示す「将来負担比率」が基準値の350%を上回る392・6%となったため、自治体財政健全化法に基づく財政健全化団体に転落した。

 町は21年度に財政健全化計画を策定。財政再建に取り組み、23年度には大鰐地域総合開発と町開発公社を精算するとともに、約70億円の債務処理のため、約66億円を金利負担の少ない「第三セクター等改革推進債」に借り換えた。

 さらに、歳出を抑えるためさまざまな取り組みを行った。人件費では町長と教育長の給与を40%、職員も5~10%、議員も10%それぞれ削減しているほか、建設事業も抑制。また、同推進債のうち12億円を減債基金などを使って26年度に繰り上げ償還した。町営施設の管理も指定管理者制度を導入するなど、歳出削減策に努めた。

 歳入を確保するため、町民の負担も求めざるを得なかった。23年度から固定資産税の税率を1・4%から1・6%に引き上げたほか、21年度からはごみの減量化も視野に入れた家庭ごみ収集の有料化に踏み切り、町指定のごみ袋を販売している。

 官民一体となった行財政改革が奏功し、返済額の歳出に占める「実質公債費比率」が26年度で基準値の25%を下回る22・4%、将来負担比率も256・8%となり、計画完了のめどが付いた。

 今後、町は公債費の抑制や長期的な視点に立った公共施設の統廃合・長寿命化などで財政負担を軽減・平準化するほか、町税の確保に向け、コンビニエンスストアでの納付など新たな方法の検討や町有財産の売却も検討する方針だ。

 財政健全化団体から脱却したことについて、同町の男性会社員(59)は「町をなくしたくないという思いは皆同じ。負担もやむを得ず、町民一丸となって取り組んだ結果」と話した。別の無職男性(70)は「とりあえず町の破綻は回避できたが、町の将来を考えると引き続き改革に努めなければいけない」と冷静だ。

 事実、同推進債の残債はまだ40億円以上あり、依然として財政状況は厳しい。山田年伸町長も「まだ第1ステージ。ここからは5年、10年のスパンで町民、議会、職員一丸となって持続可能な行財政運営に取り組んでいきたい」と話す。今後も財政安定化に向けた取り組みを続けなければならない。

 バブル期は全国各地でリゾート開発が相次いだが、その後はレジャー、生活様式の多様化などで頓挫したケースは枚挙にいとまがない。大鰐町もスキーと温泉を前面に出した形だが、身の丈以上の事業だったことが一連の結果を招いたと言える。人口減少と高齢化社会の中で、今後も財政安定化に向けた取り組みを続けなければならないことは言うまでもない。そのためには、官民が町の将来像をどう描いていくのかを真剣に考える必要がある。