パリ同時多発テロを受け、イスラム教徒を排斥しようとする動きが米国に飛び火、保守層を中心に拡散する兆しを見せ、来年11月の大統領選の帰趨(きすう)に影響を及ぼしそうな情勢だ。そんな中、野党共和党の候補指名争いでトップを走る不動産王のドナルド・トランプ氏(69)が「米国在住のイスラム教徒の動向をしっかり監視するためにデータベースを超えるシステムを導入する必要がある」などと発言。激しい批判にさらされ、言葉を濁して前言撤回を余儀なくされた。数々の問題発言を繰り返しながらも、これまでは主張を取り下げなかったトランプ氏だが、他陣営は初の翻意を潮目が変わる好機ととらえ、トランプ潰しに躍起だ。(SANKEI EXPRESS)
「ナチスと同じ手法」
トランプ氏の今回の発言は、19日に行われたNBCテレビとのインタビューで飛び出した。パリ同時多発テロについて、ひとしきりのやり取りがあった後、トランプ氏は「テロリストの脅威から米国を守るため、イスラム教徒の全国民の諸情報を国(連邦政府)に登録させるべきだ。データベースを超える多くのシステムがあるはずだ」などと語った。