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2005年9月7日 中日-阪神19回戦
(ナゴヤドーム、観衆3万8200人)
阪 神000 100 011 01=4
中 日000 000 102 00=3
(勝)久保田 5勝4敗23セーブ
(敗)平 井 4勝4敗1セーブ
(本)金本、中村豊(神)
プロ野球の優勝チームには必ず、栄冠への道が開けたポイントの試合がある。2005年、2年ぶりにリーグ制覇した阪神にとってのそれは9月7日、ナゴヤドームで行われた中日19回戦だ。ゲームの主役は延長十一回に決勝本塁打を放った中村豊、懸命のリリーフを見せた久保田らだが、彼らに力を与えたのは、勝利への執念を燃やし続けた指揮官、岡田彰布(57)だった。
阪神と中日がデッドヒートを繰り広げたシーズン。前日の6日、首位阪神はエース井川を先発にたてながら敗戦を喫し、2位中日に2ゲーム差に詰め寄られた。お互いに負けられない7日のゲームは終盤に数多くのドラマが待っていた。
延長十一回表、中村豊が振り抜いた打球は放物線を描いて左翼席最前列に飛び込んだ。値千金の勝ち越し弾は自身3年ぶり、結果的にはこのシーズン唯一の一発。九回、桧山の代走で途中出場していた伏兵は当時「監督から『きょうは絶対勝つ』という気持ちが伝わってきた」と語っている。戦う指揮官の姿に心を燃やしたのだ。
九回裏、守っているはずの阪神ナインが誰一人もグラウンドにいない異常事態。三塁側ベンチでは岡田と審判団が一触即発ムード。「審判にベンチの中で話をしようと言ったら、『僕らはベンチには入れない』と。ルールがあるらしいわ」。冗談交じりに岡田は語るが、当時は放棄試合も辞さない覚悟だった。