軽減税率に新案

政府・自民、線引き不要の奥の手プリペイドカード方式で公明の譲歩狙う 端末配備など課題も山積

与党税制協議会であいさつする自民党の宮沢洋一税調会長(右)と公明党の斉藤鉄夫税調会長=26日、東京都千代田区(斎藤良雄撮影)
与党税制協議会であいさつする自民党の宮沢洋一税調会長(右)と公明党の斉藤鉄夫税調会長=26日、東京都千代田区(斎藤良雄撮影)

 政府・自民党が26日、消費税率10%時に導入する軽減税率について、あらかじめ、政府が一定額を入金しておくプリペイドカードを配るという新たな制度案の検討に入ったのは、膠着(こうちゃく)状態にある自民、公明両党の制度設計協議を早期に決着させる狙いからだ。カードを持つ低所得者などであれば、レジで全飲食料品の負担感が和らぐという奥の手を繰り出すことで、幅広い飲食料品への適用を求めてきた公明党の譲歩を引き出したい考え。自公の協議は、最終局面を迎える。

 財務省が9月に示した軽減税率の制度案は、増税分の一部を消費者に払い戻す仕組みだった。ただ、この制度案では、後から消費税の軽減分が還付されるため、公明党からは、買い物時に税の重みを感じる「痛税感」の緩和にはつながらないとの批判が続出した。 今回のプリペイドカードを使う新案では、支払いをする際に、カードを端末にかざすことが想定されている。カードの保有者は、食料品の買い物の都度、割引が実感でき、痛税感が和らぐことが期待できる。

 プリペイドカードを使う最大の利点は、どの食料品が軽減対象なのかの線引きをする必要がない点だ。レジで支払う際に、カードをかざせば、2%の税率が割り引かれるため、与党の協議で難航している「生鮮食品」や「加工食品」など、品目を事前に線引きしておく必要がなくなるためだ。

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