浪速風

伝説の終章は突然に

【浪速風】伝説の終章は突然に(11月26日)
【浪速風】伝説の終章は突然に(11月26日)
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すでに伝説だった。代表作の小津安二郎監督「東京物語」(昭和28年)は、英国の映画専門紙で世界の監督が選ぶ映画史上の第1位になった。42歳でスクリーンから姿を消し、以来半世紀余り、メディアに登場せず、私生活は謎に包まれていた。訃報を伝える新聞の写真はどれもモノクロである。

▶小欄は「東京物語」しか見ていない。老夫婦が尾道から上京するが、長男や長女は忙しさからかまってやれない。寂しい思いをする2人を、戦死した次男の嫁が親身になって世話をする。高度成長期にさしかかり、核家族が始まろうとしていた時代に、古風な日本女性を通じて家族の絆を描いた。

▶そんなヒロインを演じるのに疲れたのだろうか。小津監督との恋愛も噂された。引退は監督が亡くなったのと前後する。私見だが、テレビの時代を迎えていたのに注目する。テレビはスターを求め、育て、貪欲に消費する。姿を消すことで、生涯を通して女優・原節子であり続けた。