露戦闘機撃墜

プーチン露大統領の逆鱗に触れる 実現遠のくロシアの孤立脱却 トルコ利害軽視のツケ

 【モスクワ=遠藤良介】ロシア軍機がトルコ軍に撃墜された事件は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」打倒の大義で米欧と手を組み、国際的孤立から脱却することを狙ってきたプーチン露政権への打撃となった。ロシアはトルコへの軍事的報復は行わないとみられるが、この一件がプーチン政権の逆鱗(げきりん)に触れたのは確かだ。この問題が両国の経済関係に影響を及ぼし、ロシアが一層の閉塞(へいそく)状況に陥る可能性が高まっている。

 トルコとロシアの言い分は領空侵犯の有無をめぐって食い違っている。ただ、事件の土壌となったのは、最近のロシアがシリア反体制派の一角を成すトルクメン人の地域に空爆を加え、その後ろ盾であるトルコが猛反発していたことだ。

 トルコは反体制派支援を通じてシリアのアサド政権打倒を狙い、ロシアはイスラム国掃討を掲げつつ、同政権を援護する-。シリア内戦にこんな構図が生まれ、ロシアがトルコの利害を軽視したことが結果として衝突を招いた。

 パリ同時多発テロで国際協調機運が高まったのに乗じ、プーチン政権は「対イスラム国」を旗印に米欧との関係を修復する戦略を描いてきた。ロシアは撃墜の影響を最小限にとどめたいとみられ、ペスコフ露大統領報道官は軍事的報復の可能性を否定している。

 ただ、プーチン大統領は撃墜について、「テロの共犯者による背後からの攻撃」と厳しく批判しており、何らかの対抗措置は確実だ。メドベージェフ首相はトルコとの共同経済プロジェクトを見直す可能性に言及した。トルコはロシアにとって第5位の貿易相手国。ロシアはトルコへの天然ガス・パイプライン敷設で欧州への経済依存度を下げる思惑だったが、実現は遠のくことになった。

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