TPP政策大綱

農業経営安定化から企業の海外展開まで… ポイントはこれだ!

 政府は25日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)発効に向けた政策大綱を決定した。工業品や農産物の関税が削減・撤廃されることを踏まえ、地方の農家や中小企業に海外市場の開拓を促す支援体制の整備など、輸出強化策を多く盛り込んだ。また、コメや麦など重要農産品5分野で農業が継続できるよう、農家の収入減少を補填する制度も拡充した。大綱の主なポイントをまとめた。

 【ポイント(1) 農業の経営安定化】

 関税引き下げによる安い外国産農作物の輸入増で、打撃を受ける恐れのあるコメや牛・豚肉など重要農産品5分野については、影響を緩和する経営安定策を盛り込んだ。

 牛・豚肉は、収入が生産費を下回った場合に赤字を補填する経営安定特別対策事業を法制化し、補填率を赤字分の8割から9割に拡大する。養豚事業では補填の原資となる積立金の4分の3を国が拠出する形に見直す。従来は国と生産者が折半で拠出していた。

 コメは米価の下落を防ぐため、政府備蓄米の保管期間を原則5年から3年に短縮し、単年度の購入量を増やして流通量を調整する。

 乳製品では飲用に比べ価格が安い加工品向け生乳の生産者を支援する補給金制度の対象に、生クリームなどの液状乳製品を追加する。また、補給金の単価も経済状況の変化を踏まえて適切に見直す。

 【ポイント(2) 農林水産業の体質強化】

 TPPによる農林水産物の関税撤廃で日本の輸出拡大が見込めることから、農林水産物と食品の輸出額を1兆円に引き上げる目標の達成期限を、現在定めている平成32年から前倒しすることを掲げた。

 農産品の輸出拡大を目指す攻めの農林水産業への転換を図るため、地域の強みを生かして国際競争力を高める産地改革の支援や、設備整備による生産コスト削減、品質向上などを図る農家の収益力強化の推進を明記した。

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