亀岡典子の恋する伝芸

白塗りのルフィ客席の上を滑空-猿之助らが「ワンピース」で創る21世紀の歌舞伎 

ルフィ(猿之助)がサーフボードに乗って宙乗り(松竹提供)
ルフィ(猿之助)がサーフボードに乗って宙乗り(松竹提供)

こんな歌舞伎、見たことない!

 スーパー歌舞伎II「ワンピース」を11月17日、東京・新橋演舞場で見た。

 国内外で4億部に迫る勢いといわれる漫画「ONE PIECE」(原作・尾田栄一郎)を、人気花形、市川猿之助が演出・主演を勤めて歌舞伎化した舞台(脚本・演出、横内謙介)は、まるでテーマパークのような楽しさだった。体感型の歌舞伎といってもいいだろう。猿之助ふんするルフィと一緒に冒険の旅に出たような感覚。こんな歌舞伎、見たことない!

 原作は、ひとつなぎの秘宝(ONE PIECE)をめぐって覇権争いを繰り広げる海賊たちの冒険物語。「海賊王におれはなる!」と宣言する麦わらの一味の少年ルフィをはじめ、伝説の海賊や魚人、オカマの革命戦士など、超個性的なキャラクターが大活躍する。

 最初、「ONE PIECE」が歌舞伎になると聞いたときは、どんな舞台になるのか想像もできなかった。というのも、ルフィはゴムゴムの実を食べて全身が伸び縮みするという設定、しかもあの長大で壮大な物語をどんなふうにまとめるのか。果たして、伝統芸能である歌舞伎にすることが可能なのだろうかと。

 ところが、これが実に、興奮すべきおもしろさに満ちていた。出演者たちは、漫画から抜け出てきたかのように忠実に役作りし、原作ファンもうならせたという。役によっては原作から離れたキャラクターもあったようだが、衣装は着物風だったり、役によっては隈取りもしているので基本は歌舞伎である。なにしろ、ルフィは白塗りしているのだから。それなのに違和感はない。