春画こぼれ話・その参(完)

江戸の女はかくも強かった…葛飾北斎が「萬福和合神」で描いた2女性の衝撃の性遍歴

とにかく萬福和合神では、主人公の女性2人だけでなく、2人の両親も、奉公先の後家さんも、長屋の隣人も、とにかく皆、毎日のように房事に耽っている。さらに、当時実際に使われていた数々の性道具の図解もあって、なかなか興味深い。

上中下巻から成り、それぞれ最後に附文がある。木楽舎から昨年刊行された『【浮世絵春画リ・クリエイト版】葛飾北斎 萬福和合神』の附文解説によると、北斎は「人間の幸せと豊かさは男女の交わりにあり、それは愚かな者も賢い者も、貧しい者も裕福な者も等しく同じなのだ」と断言している。この艶本を制作したとき、北斎は既に61歳。どんな経緯で彼がこの作品を世に送り出すことになったのかは、よくわからない。しかしこの作品以降、北斎は春画・艶本から手を引いたとされる。

江戸後期の当時、庶民らはこのような春画・艶本を貸本屋でこっそり入手し、男も女も、老いも若きも楽しんでいたのだろう。ひるがえって、世界的に見て性欲が低調とされる現代の日本人。北斎が知ったら「もっとがんばれ」と言うかもしれない。(黒沢綾子)