矢板明夫の目

なぜ中国共産党指導者の誕生日は国家機密なのか? 習近平氏の誕生日は2説あり

 日本であまり知られていないことだが、中国では共産党指導者の誕生日は国家機密になっている。中国政府は公式ホームページなどで指導者の略歴を発表しているが、生まれた年と月しか公表しておらず、誕生日がない。例えば習近平国家主席の場合「1953年6月生まれ」となっている。

 そのため記事を書く際、指導者の年齢をめぐり困るときがある。例えば、2013年の全国人民代表大会(国会に相当)で、副首相に任命された汪洋氏の場合、「1955年3月生まれ」となっており、人事が決まったのは3月16日で、そのときに誕生日が来ていたかどうかが分からない。57歳か58歳そのどちらかの可能性があるため、年齢を省いて記事を書かざるを得なかった。

 中国人は指導者の誕生日については関心が高く、性格から星座を推測するなど、長文を書いて論証する人さえいるほどだ。インターネットで、習近平主席の誕生日は「6月1日」と「6月15日」と2つの説が有力だが、それぞれ根拠があり、どれを信じればいいのかわからない。

 しかし、李克強首相の誕生日が「1955年7月1日」であることははっきりしている。それをばらしたのはインドのモディ首相である。2015年7月1日、モディ首相は自身のツイッターに「中国の李首相、お誕生日おめでとうございます」と書き込んだことが、インターネット上で話題となった。

 中印首脳会談などを通して知り得た誕生日に合わせ、李首相に祝いのメッセージを送った行為が、思惑ぬ形で中国の国家秘密をばらしてしまった。

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