温故地震

M7級の小田原地震 16世紀にも発生、70年周期か 都司嘉宣 

 第60巻に収録された長沢(川崎市)の秋月院という寺院の縁起に「1573(天正元)年に地震が起きて、小田原の後北条氏の家臣夫婦が圧死した。その子供が川崎市に移住し庵を作り、後に寺院になったのが始まり」と書かれていた。

 つまり、天正年間にも家屋が全壊し、死者が出るほどの地震が小田原で起きていたのである。仮に天正小田原地震と呼ぶことにしよう。これ以外に記述は見つからないため規模の推定は難しいが、死者がなかった天明小田原地震より小さいとは考えられない。M7・0程度はあっただろう。

 これら6回の小田原地震を時系列に並べてみると、発生間隔が似通っていることが分かる。60~79年の幅で、平均は70年だ。そして最後の関東大震災から、既に92年が経過している。

 これが次の小田原地震の切迫を意味するのか、間隔の考え方が間違いなのか判断は難しい。ただ、住民が高い防災意識を維持すべきであることは間違いない。

(つじ・よしのぶ 建築研究所特別客員研究員=歴史地震・津波学)

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