大阪ダブル選

自民惨敗、共闘がアダに…柳本氏「決して共産と共闘したわけではないが…」野合批判払拭できず

支持者らに頭を下げる柳本顕氏=22日午後8時48分、大阪市北区(彦野公太朗撮影)
支持者らに頭を下げる柳本顕氏=22日午後8時48分、大阪市北区(彦野公太朗撮影)

 死闘の末に大阪都構想を退け、歓喜に沸いた5月の住民投票からわずか半年。大阪市長選に柳本顕氏(41)、大阪府知事選に栗原貴子氏(53)を擁立した「非維新勢力」に待っていたのは、2敗という厳しい結果だった。

 投票が締め切られた午後8時ちょうど。「2敗」を知らせるニュース速報が流れ、自民党陣営は重苦しい雰囲気に包まれた。谷垣禎一幹事長をはじめ、党本部からも幹部や閣僚が来援しての総力戦を展開しただけに、惨敗のショックは大きい。

 「個人を選ぶ市長選が橋下市政の信任投票になってしまった」。大阪市北区の選挙事務所に姿を見せた柳本氏は、表情をこわばらせて深々と頭を下げた。

 敗因を「私自身の発信力不足。危機的な大阪の経済状況や混迷を知ってほしかったが、理解が得られなかった」と振り返った。

 共産党や民主党の自主支援を受けたことが「野合、談合」と批判されたことについては、「決して共闘したわけではないが、(批判を)払拭できなかった」と語った。

 平成25年の市議団幹事長就任以来、市議会やテレビ討論で、橋下氏と正面から対峙(たいじ)してきた自民府連のエース。住民投票で僅差の末に都構想を廃案に追い込んだ5月17日の夜、大喜びする議員のそばで、一人表情を曇らせた。「市長選も厳しい戦いになる。柳本顕が役目を果たさなければならない」。半年後の大阪維新との再戦を予感し、一身を投じる覚悟を固めていた。

 市長選では、「対立の構図、劇場型の政治は大阪には要らない」と維新政治からの転換を求めたが、高い壁を突き崩せなかった。

 一方の栗原氏は、トレードマークとなった赤いスーツ姿で選挙事務所に姿を見せ、「私の力不足。有権者のご判断を重く受け止めたい」と涙声で語った。都構想の阻止を強く訴えてきたが、惨敗という結果に「議会で批判していた懸念、疑問点を伝えきれなかった」。

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