海道東征コンサート

タクトを振った北原さん「日本人の品性が立ちのぼる作品」

海道東征コンサートで指揮をした北原幸男氏=20日午後、大阪市北区 ザ・シンフォニーホール(前川純一郎撮影)
海道東征コンサートで指揮をした北原幸男氏=20日午後、大阪市北区 ザ・シンフォニーホール(前川純一郎撮影)

 大阪市北区のザ・シンフォニーホールで22日に開かれた「戦後70年 信時潔(のぶとききよし)没後50年 交声曲『海道東征』」。20、22日ともタクトを振ったのは、宮内庁式部職楽部指揮者の北原幸男さん(58)だった。

 「この作品に出合い、人生が変わりました。日本人の品性が立ちのぼる曲。後世に伝えていくことが使命と感じています」。終演後、さわやかな表情で話した。

 「海道東征」は、詩人の北原白秋と、大正・昭和に活躍した作曲家、信時潔による皇紀2600年(昭和15年)奉祝曲。信時は、バッハやヘンデルを理想にしながら、日本の雅楽や古謡などの旋律、響きも取り入れて作曲した。

 実際に指揮して、「信時先生の日本人としてのアイデンティティーに強く共感した」という。「日本の文化を毅然(きぜん)と表現した音楽ですが、決してがなり立てず、抑制をきかせるところにも品性を感じる。そこが聴く人の感情を揺さぶるんです」

 尺八奏者の祖父、父をもつ北原さんは、3歳でピアノ、中学生になると尺八を学んだが、西洋音楽への憧れが強く桐朋学園大学(東京)音楽学部に進学、卒業後に渡欧してドイツの歌劇場の常任指揮者、音楽総監督を歴任した。

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