共謀罪要件に犯罪準備 対象は「組織的集団」限定

 パリ同時多発テロを受けた国内テロ対策として「共謀罪」を新設するため、国会再提出が検討されている組織犯罪処罰法改正案について、重大犯罪の謀議に加わっただけで処罰対象となる共謀罪の内容を見直し、犯罪実行に必要な資金や物品の準備などを構成要件とする方向で法務省が検討していることが19日、分かった。適用対象団体を「組織的な犯罪集団」に限定し、共謀罪の名称も誤解を招くとして「組織犯罪準備罪」や「組織犯罪遂行罪」などの呼称を検討する。

 関係者によると、従来の共謀罪では、会社や労働組合、酒場などで相談しただけで処罰対象になるのではないかとの誤解も生じていたため、改正案では、適用対象団体をテロリストや暴力団などの「組織的な犯罪集団」に限定する。

 組織的な犯罪集団であっても、共謀だけでは処罰対象とはせず、犯罪実行に必要な資金や物品の準備などがあって初めて法令を適用するよう改める。

 共謀罪をめぐっては、民主党などの野党から「集まっただけで罪に問われ、人権侵害につながりかねない」などの反対があった。「国民監視につながる」との懸念もあり、共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案はこれまで国会に3回提出されたが、いずれも廃案となっていた。

会員限定記事会員サービス詳細