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「救急専門」診療所が登場 軽・中程度の急患受け入れ 重度は高度機関へつなぐ

 10月の日曜日の夜、上原院長は男性会社員(25)の再診にあたっていた。機械に挟まれて一部欠損した指を消毒しながら、顔色を見て、「ベッドに横になるかい? 人間は痛みと恐怖で血圧が下がったりするものだよ」と声をかけた。

 男性がけがをしたのは10日前の夜。友人から「夜遅くまで診てくれる救急の診療所がある」と教えられ、午後9時ごろに受診。二十数針を縫った。「ここがなかったら、どこに行けばいいのか分からなかった」と言う。

 上原院長は「あとは薬を塗って消毒するだけ。職場で患部が汚れたら、夜間でも来た方がいい」と伝えると、男性宅の近隣の診療所を探し、紹介状を書いた。

 昨年1年間に、救急車は1727件を受け入れた。受け入れた患者は5年間に約4万4千人。ほとんどは、その日に帰宅できる比較的軽症の患者だが、0・6%に当たる272人は緊急転院が必要だった。また、約200人は一晩入院してもらい経過観察をした。

 軽度の人は安心してもらって帰し、重度の人はより高度な医療機関につなぐ。上原院長は、一般の診療所が開いていない時間帯に、こうした患者の振り分けをする診療所が必要だと考えている。実際、患者は自分で状態を判断できない。歩いてやってきた患者が心筋梗塞(こうそく)だったり、腰痛を訴えてタクシーで来た患者が大動脈解離だったりも、まれにだがある。