韓国の中国傾斜論は、今日否定しようのない事実である。アメリカの促す高高度防衛ミサイル(THAAD)の設置を引き延ばす。これを李朝時代では「遷延(せんえん)」策といった。大国が難題を持ちかけるたびに臣下たちは「王様、遷延でよろしく」と願い出たものである。引き延ばして状況が変わり、相手が諦めるのを待つのである。
中国の南シナ海進出への批判も巧妙に避けている。韓民求国防相に東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大国防相会議で航行の自由の保障を明言させたが、政府は何も言っていない。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に積極参加し、朴槿恵大統領は中国の抗日記念行事に出席し、軍事パレードの雛(ひな)壇で席次2位だったことを朝貢国のように喜んだ。
アメリカよりも中国の影響下の方が、南北で取引ができ統一がしやすいという思惑があるのである。ただそれを日本に追いやられたからという形に持っていき、アメリカの非難を自国に向けないようにしたいのである。実はこのような面倒なことをしなくとも、南北には統一の機が熟している。