話の肖像画

影絵作家・藤城清治(3)時代を見抜き、言い当てる力

人形劇の舞台制作中=昭和25年ごろ
人形劇の舞台制作中=昭和25年ごろ

 〈花森安治が創刊した生活雑誌「暮しの手帖」では、休載をはさみながら、童話などの影絵連載を平成8年まで続けた〉

 初めは人形劇の写真を載せていましたが、花森さんには「影絵の方が面白い。時代に合っている」と言われました。それで、親が子供に読み聞かせられるような童話を探して、影絵を作るようになった。次第に「最初に影絵のページを読む」という読者も多くなって、僕も「影絵作家」と呼ばれるようになったんです。僕は人形劇の方が好きだったから、本当は、人形劇も載せたかったのだけれど(笑)。

 花森さんには、時代を見抜き、はっきりと言い当てる感覚や力があった。花森さん自身、絵も文章もうまい人で、スカートをはいたり、髪にパーマネントをかけたり、男女同権を訴えたりと、時代の最先端を行っていました。僕の影絵の中にも、「暮しの手帖」や花森さんの考え方、世界観のようなものが根ざしている。花森さんから受けた影響は、計り知れません。

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